生分解性プラスチックと混同されやすい原料が、「バイオマスプラスチック」です。
生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックは、どちらも地球環境の問題をクリアする原料として期待され、近年開発が進められています。
両者には共通する部分があるものの、原料や目的が大きく異なります。
●定義や原料の違い
前述のとおり、生分解性プラスチックは「微生物によって分解され、自然的副産物のみを生じるもの」と定義されています。
生分解性プラスチックには、トウモロコシやサトウキビを原料とする生物由来のものもありますが、中には石油系原料を使って作られるものもあります。
一方で、バイオマス原料の定義は「原料に生物資源を用いている資源」です。さらに細かく解説すると、生物資源100%ではなくとも、25%以上のバイオマス資源を含んでいれば、バイオマス原料であると定義されます。
また、資源の枯渇が懸念される石油系原料の代替としても、バイオマスプラスチックは期待されています。
ポリ乳酸など、サトウキビやトウモロコシを主な原料として作られたプラスチック原料は、生分解性プラスチックでもあり、バイオマスプラスチックでもあります。
●主な目的の違い
生分解性プラスチックは、自然環境の汚染を防止することが主な目的です。
一方のバイオマス原料は、二酸化炭素排出の削減による地球温暖化防止が主な目的です。
生分解性プラスチックの生成時には、バイオマスを燃焼させることで二酸化炭素が発生します。しかしこの二酸化炭素は、原料である生物が自然界から取り込んだものであるため、地球環境における二酸化炭素量は増加しないと考えられています。
原料の制定をする場合は、目的や用途に合った原料や素材を選ぶことが重要です。